私が本格的にマナーを学ぼうと思ったきっかけのエピソードは2つあります。
「ビール空き缶事件」と「握手赤面事件」です。
まず1つ目の「ビール空き缶事件」について。
私がエジプト航空に入社して1年目、満席の機内で、忙しく機内食のサービスしていた時のことです。
私の担当とは別のエリアを担当していた先輩のエジプト人乗務員から「彼の担当している日本人のお客様のビールの空き缶を下げるよう」指示を受けました。
誤解のないように補足しておきますと、エジプト航空ではイスラム教が禁止しているアルコールは提供しておりません。
しかし、日本路線に限っては、お客様が持ち込まれるアルコール類は許可されています。
機内でお酒を楽しみたいお客様は、ビールやチューハイなどを持ち込んでいらっしゃいました。
指示を受けた時の私の頭の中を白状しますと…
えっ、先輩が自分で下げれば良いのに、なぜわざわざ私に頼むの?
もしかして、私が新人だから?
ネガティブな思いが込み上げました。
とはいえ、やはり第一の目的は、「お客様に快適にお過ごしいただくこと」。
一瞬のうちに駆け巡った不満は一旦横に置いて、笑顔でお客様のお席に向かいました。
乗務後、先輩CAに機内での出来事を話しましたら、次のような話をしてくださいました。
イスラム教徒の方々は、タブーとされている「アルコール」を口にしないだけでなく、「お酒が入っていた容器」でさえ触れないようにしている敬虔な信者の方もいらっしゃる、と。
私は、衝撃を受けました。自分の無知さを恥じました。
たとえ口に出して先輩に文句を言っていないとはいえ、心の中で悪態をついたことは事実です。
相手の事情も考えずに、自分の中の常識や価値観だけで相手を責めた自分を猛省しました。
世界中の人と関わり、ホスピタリティのプロフェッショナルを目指すのならば、「宗教」について知る必要があると決意した、私にとってとても衝撃的な出来事でした。
宗教に関しては、まずは四大宗教(キリスト教、イスラム教、ヒンズー教、仏教)の「タブー」を知ることが、国際人として活躍する上で必須です。
あまり意識したことはなかったという方は、ぜひ、調べてみてくださいね!
2つ目の「握手赤面事件」については、明日のNo.29のコラムでお伝えいたします。
ぜひご覧くださいませ。
本日も最後までお読みくださりありがとうございました。
Emiko Manners Academy
代表 小林 恵美子